こんにちは。
ゆるはすです。
ついにFE250も走行距離1万㎞(くらい)。
その間全くのノートラブル。めでたい。
節目ということで、インプレをやっておきます。
これから買おうか迷ってる人に向けて、ね。
結構な長文になっちゃいました。
はじめに
まず書き手に関してちょっとだけ。
プロと素人とでは言葉の重みが変わると思うし。
私は自分をオフロード中級者だと思ってます。
言うほど上手くなく、言うほど下手でもなく…。人気ハードエンデューロレースの「CGC」で言えば、さわやかクラス中堅レベルというところです。
FEの使用用途としては…
自走で林道行きます。
コンビニに行くのにも使ってます。
ロングツーリングにも行きました。
最近はオフロードコースにも行ってます。
いわゆる自走オフローダー、
一般的なオフロードバイク乗りです。
そんな一般人がFE250を乗ってみてどうだったか。
嘘偽りなく正直に書いていこうと思います。
車両スペック
さて、私のFE250は2015年式。
基本的な構成としては同年式のKTM 250exc-fとほとんど同じです。リアサスがリンク式になっていたり、サブフレームがポリアミド製だったりと若干の違いはありますが、大体同じだと思ってもらっていいです。(白いKTMとは言わないで)
で、FEのベースとなっているKTMのオフロードレーサーにはいくつかシリーズがあります。ざっくり説明するとモトクロス用のSX、クロスカントリー用のXC、エンデューロ用のEXCといった具合です。それぞれエンジンやシャーシの大部分が共通なんですが、用途に合わせてカムとか足回りのセッティングとかナンヤカンヤ違っていたりします。
その中でEXCは「公道走行を視野に入れたエンデューロレーサー」に位置付けられています。なんで公道もかっていうと、海外でのエンデューロレースは公道がコースに含まれることが珍しくないから。公道を走る前提で作られているので、それに合わせて耐久性を重視されていたりナンバーが付けられたりするってわけです。
それを踏まえて、FEはEXCと同じカテゴリーのバイクです(というかほぼ同じバイク)。なのでFEは公道走行を視野に入れたエンデューロレーサーという認識でOKですね。普通にナンバーを取れるあたりが国内メーカーのYZ250FXやCRF250Xとはちょっと違います。WR250Fが近いのかな?(ナンバー取るために相当な無茶やってるとかゴニョゴニョ…)
ちなみに、排気量を拡大した350ccのエンジンを積んだモデル(FE350)もあります。というか、どちらかといえばそっちがメインみたい。車重がほぼ変わらないのに全域でパワフルになっているので、レースで結果を出したいぜ!という人はこっちが良いかもですね。
エンジン
DOHC 4バルブ 250cc 単気筒エンジン。
燃料供給はFi。
ミッションは6速。
とってもマイルドな出力特性で、扱いやすいエンジンです!
下から上までフラットにパワーが出るので、初心者にも乗りやすいと思います。むしろ「あ、こんなもんなのね?」となるほど。初めてのレーサーとしてもおすすめ。
このマイルドさというのをとても気に入ってて、乗っていてそんなに怖さがありません。エンジン特性がピーキーな車両は本当にピーキーで、開けたらすぐにパワーが出るので怖くて開けられないよ…ということがありがちですが、FEはそれほど俊敏にパワーが出ない。つまり怖くない。つまり臆せずアクセルを開けることができる!
マップスイッチを付けることでアドバンスモードとウェットモードが追加されます。好みで切り替えられるところがいいですね。アドバンスはバリバリ、ウェットはすごくマイルドになるよ。ピークパワーが変わるっていうわけではないと思うけど…感覚的にはハイスロ・ロースロに切り替えられる感じ。
モタード化してイキりたい方にはアドバンスモード、おすすめです。逆に、私レベルだったらウェットモードの方が乗りやすかったりします。
で、馬力の方なんですが。
実測値で以下のような感じらしいですよ。
最高出力 31馬力/10600rpm。
これは後軸のデータだと思うので、エンジン単体でいうと35馬力くらいかな?意外と出てないですよね。正直、最高速に限ればフルパワー化したWR250Rの方が勝ってるんじゃ…と個人的に思っていたり。ダイレクトなパワー感や低速からのパンチでは全然FEの方が良いですけどね。
参考までに☝はMY2020のFC250についての記事。
私のはMY2015なので違うエンジンなんですが、46馬力って凄い。MY2020のFE250は上とほぼ同じエンジンを積んでるから、それだけのポテンシャルがあるってことだね。
気になるところとしては、ゆっくり景色を楽しみながら走りたい…というとき。具体的に言えば、アイドリングの少し上くらいの超低速で走るセローにペースを合わせるのがとっても苦痛。アクセルを開けてるか開けてないかギリギリの開度、かつパーシャル…という状況下は、ちょっと開ければ吹け上がって全閉するとエンブレ大!という感じでギクシャクします。半クラ必須。しんどいよ。
いくら扱いやすいと言ってもレーサーはレーサー。
ある程度スピードが乗っていれば問題ないんですけどね。というかスピード出してる方が快適です。
シャーシ
メインフレームが鉄、サブフレームはポリアミド。
サスペンションは前後WP製。
車重は半乾燥(燃料を含まず)で107.5kg。
燃料満タンで117kg。さすがレーサー、軽いです。
ハスクのレーサーで特徴的なのはやっぱりサブフレームですよね。KTMのEXCはアルミを使っている一方で、ハスクはポリアミド(プラスチック)を使っています。これは軽量化というより柔軟性を狙ってるとかナントカ。2017年以降はカーボンが入って硬くなってるらしいです。現行型はすぐ割れると話題沸騰中ですが、私の年式のFEで割れるという話は聞かないですね。
そしてサスペンションは上述した通りWP製のものを採用しています。
モノは同年式のEXCが採用しているものと同製品。特筆すべきはフロントで使われている「4CSサスペンション」ですね…これがちょっと曲者です。性能はボチボチらしいんですが、構造が複雑でメンテナンス費用がかさむ・パーツが砕けやすいなどちょっとアレなところがあるらしいです。サス屋さんに嫌われるタイプのサス。
ちなみに2017年以降で採用されてるWP Xplorサスペンションは性能・メンテ性共に上々だそうな。乗ってみれば分かりますが、確かにあれば良いものですよ。
乗り味に関しては…
しなやかな感じです(適当)。挙動がとても素直。
なんというか素直に向きが変わっていくというか、車体がとってもフレンドリーというか。自分のFEは前後にソフトスプリングを組んであることもあって細かいコーナーなんかでもグッとサスが入るし、車体のしなりを感じられるし…。乗っててこわさが無いんですよね。(素人なのであんま理屈は分かんないです)
用途別の使用感
オフロード
本来の使用用途であるオフロード。
乗ればわかりますが、ニヤッとするほど楽しいですよ。
・フラット系
フラット林道、みんな好きですよね。私も大好きです。
FE250は持ち前の鋭いレスポンス、大パワー、しなやかな車体で、気持ちよ~くかっ飛ばすことができます。乗り換えて初めてフラットを走ったときはビビりました。まったくコケる気がしなくてスピード域がガンガン上がっていきます。
というのも、エンジンの出力特性がフラットで分かりやすいのでコーナーでアクセルをパカパカ開けることができるんです。変にトルクの谷なんかあったら急にパワー出たりして怖いもんね。それがないからストレスなく走ることができますよ。コーナーを抜けたらアクセル全開!!一定以上のアクセル開度から響き始める吸気音がかっこいいぜ!!
しかしながら苦手とするところもあります…それは大きめな石が転がるガレた道。そういうところでの直進性というのがめっぽう弱く、フロントがアッチコッチに弾かれて安定しません。(それでいいのかエンデューロレーサー!?)この原因となるのが上述した4CSサスペンション。初期のサスの入りが悪く、急なギャップに対して突っ張るような動きをしてしまうんです。ギャーっと飛ばしてると唐突にフロントがトンデモない弾かれ方するときがあるのでビビりますよ。気を付けてください。
・ゲロ系
ヒル、わだち、ガレ、キャンバー…いわゆるゲロ林道、ハードエンデューロといわれる場面。やはりレーサーなだけあってかなりイケます。というか、トップクラスの性能を持っていると思います。お値段相応。
FEの強みは圧倒的な扱いやすさ。これです。
特に低回転から高回転までフラットにパワーの出るエンジンが気に入っています。狙った場所で狙ったパワーを得やすく、それが障害物や難所のクリアし易さに繋がりました。いつでもどこでもフレンドリー。FEは裏切りません。
YZ250FX(2020年式)と乗り比べしたこともありますが、明らかにFEの方が乗りやすいことにびっくりしました。FXはモトクロッサーチックで、エンジン特性もパキパキ。とにかくパワー感が凄くて良く吹ける。自分はこわくてアクセル開けられませんでした。一方でFEはパワー感が薄く、FXの後に乗ったら「え、トレール?」とすら思いました。
しかしパワー感が薄い分、恐怖感なくアクセルを開けることができます。多分オフロード初心者の人でもアクセルを開けて走れるんじゃないかな?それくらい扱いやすさを感じます。懐が広く、誰でも疲れず安定して走れるようなイメージ。「ドッヒャー!速いよぉ~!」というよりは「あれ?気付いたら速く走れてる?」というような感じです。
そしてもちろん、軽さも相当な武器です。
燃料満タンで117㎏程度。トレールと比べたら圧倒的に軽いです。体感的にはYZ250FXより軽いくらい?巷で話題のYZ125Xや他の2stレーサーなんかと比べるとやはり重さは感じてしまいますが、まあ極悪なコースに連れ込まれない限り不満は感じないです。
オンロード
オフロードレーサーのオンロード性能って、物凄く的外れな気がしますね。ので、性能というよりは街乗り・ツーリングでの実用性について言及します。ちなみに、以下の文はレーサー全般で言える話です。
最初に断言しておきますが、
FE250はツーリングに向いてません!
行けないことは無いですよ。
ですが、快適なツーリングなんて無理です。トレールと比べて振動強いし、シートがこれでもかってくらい固くてケツちょ~痛いし、積載性はゼロだし…100㎞も走れば限界が来ます。身体の色んな所が爆発します。
さらに、オフロードでは扱いやすいエンジンもツーリングでは牙を剥きます。低回転での巡行はまず諦めてください。要因を挙げるとするなら、クランクマスの小ささと圧縮の高さ。クランクを回す慣性が弱いので、ガスが爆発した段階のタイヤを回す力と、その後の圧縮する段階の抵抗のメリハリが大きすぎてガチャガチャします。(伝われ。)
追記
この低回転でガチャガチャするのは、トルク変動が大きいことが原因だと思ってます。☟の記事参照。
巡行するならある程度高い回転数を保つ必要があります。でも高い回転数を保つと精神的によくない。ので、走れる速度域が限られてくるんですよね。例えば70-80km/hは快適だけどその他は地獄、みたいな。いや、ほんとですよ。信じてください。
一方、いいところもあります。
燃費とタンク容量です。
まず燃費。
FE250のエンジンはパワー、扱いやすさ、頑丈さの他に、燃費の良さという長所があるんです。Fiですしね。オフ走って25km/L。街乗りで30㎞/L。ツーリングに行けば35㎞/L!スバラシー!
そしてタンク容量。
こんなスリムな見た目をして、なんと9.5Lも入ります。WR250Rより2Lも多く入るんですよ。航続距離は250㎞以上!ガス欠の前に人間に限界が来ます!
まあ、ロングツーリングも行こうと思えば行けるって感じです。シートやギア比を変えれば快適なツーリングも…夢ではないかもしれませんね。可能性はヒシヒシと感じます。実際やってる人もそこそこいますから。
一番手軽な楽しみ方は近所の散歩や街乗りですね。
レーサー特有の軽い車体と鋭いレスポンスは、近所の散歩を最高に刺激的なものにしてくれます。圧縮高そうな排気音もカッコイイ。トレールとは全然違って、「走るぜ!」という気持ちを高めてくれます。交差点でスロットルガバ開けしちゃダメだよ!あっという間にスライドが始まるからね!
レーサーを公道で走らせる、ということ
FEに限った話ではありませんが、こういう車種を買う人間のうち1割くらいはいるかと思います。レースではなく、ツーリングや街乗りでレーサーに乗りたい!という人。私もそのうちの一人です。
「レーサー 公道」「レーサー 耐久性」なんかで検索をかけている人、結構いるんじゃないかな?そして某知恵袋で下のような回答を見つける。
・3000kmごとにエンジンOH、それができないなら無理
・素人にはパワーありすぎて扱いきれないから無理
この辺の話、よく見ると思います。
本当なんでしょうかね。
耐久性なさすぎ説
レーサーを公道で乗る上で一番の障壁がこれだと思います。
確かに、FE250もマニュアルに走行時間135hごとにエンジンOHが推奨と書いてある。高速は走らないでくれとも…書いてあったかな?とにかく細かいメンテナンス周期が記載されてる。
結論から言うと、そんなに気にしなくていいです。
マニュアルに記載されているのは、「常に最高のパフォーマンスを発揮できる状態に維持するため」の推奨メンテナンスサイクルなんですよね。レースでライバルより1mでも前に!常に全開走行!というストイックな方に向けたもの、ということ。「こうしなきゃ壊れます」というものではないんです。
それに当てはまる人がどれだけいるんでしょう。
私も、私の周りでもマニュアルに記載されているレベルのメンテナンスをしている人はそういません(というか見たことない)。それでも相当な距離を平気で走ってくれるみたいです。twitterの知り合いでも同年式のFE250でレースやりつつ3万キロ以上走っている猛者もいます。
最近は250EXC TPIのモタード仕様で2万キロ走ってるという人を見ました。下手するとCRMやKDXみたいな一昔前のトレール車より丈夫なんじゃないか…。
街乗り程度だったらそう簡単には壊れません。
コンビニ行くのに使ってる私が言うので間違いありません。
ただしノーメンテでは駄目ですよ。
走行1000㎞以内のエンジンオイル交換を厳守。エアフィルターのこまめな清掃。走行毎に冷却水が減ってないかの確認、と定期的な交換。1万キロも走ったら腰上くらい見ておいても良いかな。そんなに特別なメンテナンスは無いと思います。
ちなみに、エンジンオイルは金属面の保護の為固いものを使うようにしてます。上のMOTOREXとか、MOTULの300Vとかがおすすめです。レーサーに入るオイルなんてたかが1Lなんだから、ケチらずバシバシ交換しちゃいましょ。オイルはエンジンの生命線ですよ。
ただ、高速道路などで高回転を維持し続けると良くないというのは有名な話。オイルポンプで腰上に回ったオイルが下りてくるのが間に合わず、腰下が潤滑不良になることがあるんだとか。オイルを規定量より多めに入れるなど対策している方もいるようですが…長時間に及ぶ高回転域の使用は控えることが賢明でしょう。高速道路を走る機会があればSAごとにエンジンを休ませましょ。
パワーありすぎ説
これはあながち間違いではないです。
トレール車とはスロットル開け始めのレスポンスが全然違うのでギクシャクしちゃう…疲れている時なんかは余計に。自分くらいのレベルだと、場合によってはセローなどトレールの方が速く走れちゃうと思います。
自分の知り合いでも4st350ccレーサーに乗っている人がいますが、あれって物凄くパワーがあるバイクで、コースを一緒に走ると毎度取っ散らかってるのを横目に見てます。ちょっと体が遅れちゃうとそれはもう悲惨なことに…。人を残して車体が飛ぶんですよ。ポーンって。
ですが、それは限られた条件下での話。
近所の散歩だったり、フラットな林道だったり、ちょっとしたツーリングだったりに使うくらいなら気合い入れなくても普通に乗れます。そういった用途であれば4st250ccレーサーなんてそんな身構えなきゃいけないほどの超パワーは感じませんよ。ツーリングに使うなら非力とすら感じるかも。その辺の大型バイクのがよっぽど危険。(ツーリングメインならFE501とかおすすめだよ!)
それに、オフロードを走る上でも慣れてさえしまえばレーサーの持つダイレクトなパワー感、軽さや足回りの良さはこれ以上ない武器になります。がっつりオフ走りたい!という方は間違いなくレーサーの方が良いです。その為に作られたバイクなんですから。
しかし正直なところ、公道使用の為にレーサーを買うのは勧められるものではありません。
快適性は皆無。実用性も皆無。メンテに金がかかる。
とても現実的な選択ではないです。トレール並みの扱いやすさを求めて購入する人は理想とのギャップで不満を覚えることが多いんだそうな。お店の方がそういう人からクレームを受けるんだとボヤいているのを見かけました。
公道のみで使うのであれば、自分も普通のトレールバイクを購入することを勧めます。
新しいCRF250Lとか超良いと思う。
でも、『おれはこれに乗りたいんだ!』
という気持ち(覚悟)があるのであれば、背中を押します。
刺激たっぷりなレーサーの世界へ、君も飛び込もう!
※上の話はエンデューロモデルに限った話。モトクロスモデルは相当アブナイので、乗る機会があるときは気合い入れてくださいね。公道での使用もやめといた方がいいです。
まとめ
総評:
『トップクラスのオフロード性能がありながら街乗りも熟すスーパーバイク』
良いところ
・扱いやすいマイルドなエンジン特性
・しなやかで素直なシャーシ
・公道使用に耐える耐久性
・燃費良、タンク容量大
悪いところ
・値段の高さ(現行型新車130万円)
・公道での実用性、快適性は皆無
・「ハスクならいけるだろ!」と煽られる
こんな人にオススメ
・自走林道ガチ勢の方
・初めてのレーサー購入を検討中の方
・トレールじゃ満足できねえぜ!という方
・ルックスに惚れた!という方
買ってよかった!
これが、FE250で1万キロ走った私の感想です。
基本公道で、たまのオフロードは過激に!という用途で使えるバイクが欲しかった私に、FE250は刺さりました。ちょ~最高です。見た目も好みだしね!(あとハスクバーナブランドってなんかイイ)
完全にハスクバーナ信者になりましたとさ。
FE250は寿命を全うするまで乗り続けようと思います。
以上、インプレでした。
2万キロいけたらまた書きます。