こんにちは。
2020年以降のTE250i、めっっちゃいいぞ。
マジで乗り換えたいゆるはすです。
さて、私が乗っているTE250i。
少々クラッチに難ありでした。クラッチがスパッと切れずにずっと引きずってて、クラッチ切っててもNから1速に入れるとエンスト。その上になんかスゲーレバーが重い。うーん。
イヤー困った困った。
で、その辺を解決したので記事にまとめておきます。
症状
何はともあれどう困っていたかを書かせてくださいよ。
冒頭に書いた通りなんですが、ざっくり症状は2つ。
クラッチの引きずり
もうほんとに困った。
クラッチが切り切れない。
割と2stレーサーにはありがちな症状らしいんですが、
クラッチを切っていてもギアが入っていると車体がグングン前に進もうとする。
ほんとに困ってたんですよ。
・N以外だとエンジンかけられない
・クラッチ切ってその場で止まれない
・ブレーキで無理やり止めてるとフロントがズルっといってコケる
・ヒルの手前で頑張って止まっているときギアがマジで変えられない
☝ペダル蹴っ飛ばして無理やり入れてる
・低速でクラッチ切って下り走ってるときパスパスエンジン停まる
・もしくは前に押し出される
き、きびしィ~!!
これが原因でCGCダイナランドのダイナマイトロックでクラッチ切っても車体が進むもんだから放り投げましたね。youtubeにもばっちりその瞬間が収められています。ワロタ。3:07~
クラッチが重い
そしてこれ。クラッチが重い。
なんでこんなに重いん…?って不思議になるくらい重かった。
自分はFEとTE共に「クラッチの重さが半分になる」という売り文句であるMidwest Mountain Engineeringクラッチレバーを導入しています。実際FEのクラッチは羽のように軽いよ。
で、TEの方にもこのレバーを入れたんですが…
重い!!全然重い!!なんでや!!!
さすがに元からついてたパワーパーツ?のレバーと比べたら軽くはなったんですが、それでも重い。「バチクソ重い」から「重い」に変わったという感じで、結局は重いままだった。
これがどう困るかというと、指一本でクラッチ切れなかったんです。
車体がドカドカ動いてしまうようなセクションはハンドルをしっかり握りたいのでクラッチは指一本にしたい。しかしそうするとあっという間に指がアガっちゃって「車体の進みを抑えるためにクラッチ切りたい!でも指に力が入らない!クラッチ切れない!車体ぶん投げ~」ってパターンがかなり多かった。というか指二本でもすぐ駄目になってた。ちなみにぼくの握力は65㎏です。
クラッチの重さで体力を持っていかれて、クラッチの引きずりで思ったように走れずにストレスが溜まってしまう。そう、クラッチがTEで走っていて一番のイライラポイントだったんです。しかし「2stレーサーはそういうもんだ」と思っており、不満を感じながらもそのまま走っていました。
そしてある日、ツルッツルな赤土のヒルをトライアルタイヤで登るという想像しただけで吐きそうになる拷問を受けてるとき。レブ打ちながら半クラ当てるとすんげー登ることに気づいてそれやってたらクラッチを完全に焼き上げてしまいました。
あちゃー。いい色してんね。
こうなるともう一生クラッチ切れてくれなくて、ずっとクラッチ全切りの状態でもNで少しアクセル煽ってから1速に入れるとフロントアップするようになりました。さすがに限界だねってことでクラッチプレート一式の新品交換に踏み切ったというわけ。
対策
さー新品交換だ。
完全に駄目になったので交換が必須である、という大義名分を得ないと勿体なくて交換に踏み切れないのは悪い癖ですね。
で買ったのがこれ。クラッチキット。
クラッチプレート、フリクションプレート、スプリングが全部セットになっているというもの。お値段は25000円くらいでした。高くね?
購入はルサンバレーさんのオンラインショップから行いました。発注後は待ってても全然届かないしやっぱハスクは駄目っすわ!!と思ってたらチラシの隙間に不在伝票挟まってました。1週間しないくらいで届いてたっぽいです。届かないんすけど~とかTwitter上で騒いでてすいませんでした。
とゆーことで届いたパーツをサクッと組付け。
実はクラッチプレートは厚さが違うものが2枚あって場所が決まってるとか、組み付ける方向が決まってるとか、ちょいと注意点があったものの15分くらいで終わる作業でした。youtubeで調べるとわかりやすい動画たくさん上がってるので事前に見ておけば楽勝です。
実走
組み付け後はもうワクワクしちゃって早速走ってみた。
その結果はですね…
もう滅茶苦茶良くなりました!!
早くやっとけばよかった!!
なんてこった。
今まで使ってたクラッチってもしかしてTE買ったときから死んでた?
まず、クラッチがしゃっきり切れるようになった。
プレート交換してからちょっと走ると引きずりの症状がまた出てきてびっくりしたけど、ギアオイル交換したら治りました。多分初期の摩耗でオイルがすぐ駄目になっちゃったからだと思う。中々酷い色してた。今はスパっと切れます。
そしてさらにクラッチの重さについてもだいぶ改善されちゃいました。流石にFEほどとはいきませんが前よりも明らかにクラッチが軽い。これなら指一本でもいけちゃう。
とゆーわけでTEの不満ポイントであるクラッチが大改善されてハッピーになったっピね。
みんなも不満があればさっさと交換しましょ。
豆知識
しかしオイちょっと待てよ、と。
クラッチプレートを新品交換して引きずりが直るのは当然として、なんでついでに軽くなるねん。そう思った方も中にはいるのではないでしょうか。
実はこれ、KTM系エンデューロレーサーで採用されているダイヤフラムスプリング式クラッチ(以下DSクラッチ)の特徴なんですね。
DSクラッチはプレートの摩耗で重くなる
正確にはDDSクラッチ(ダンピングダイヤフラムスプリングクラッチ)なんですけどね。クラッチにダンパーが入ってるらしいんですが、今回の要点はダイヤフラムスプリングなのでダンパーについては省略。
このクラッチはプレートを押し付ける役割のスプリングとしてダイヤフラムスプリング(皿ばね)が使われている。利点はクラッチ一式を薄く作れるだとか、プレート全体に均一なバネ圧をかけられるだとか、まあ色々あるらしいです。
ちなみにYZなんかはコイルスプリングが使われてますね。Betaも21年まではコイルスプリング。たぶんその辺走ってるツーリングバイクとかもみんなコイルスプリング式のクラッチ。
で、皿ばねの特性の一つとしてたわみ量と荷重の関係が3次曲線上にあるってのがあるらしいんです。たわみ量が一定を超えるとたわませるほど荷重が軽くなる(たわみやすくなる)領域がある。ハァ?って感じですが、グラフにするとこんな感じになるとのこと。あ、ぼく文系出身なんでなんか間違ってても許してね。
DSクラッチは皿ばねをある程度たわんだ状態で組付けてプレートに荷重をかけていて、この特性を上手いこと利用しています。分かりやすくTEの操作感でいうとクラッチレバー引き始めが一番重くて奥の方で軽くなるようになっています。それが疲労軽減のメリットとして挙げられていますね。
絵にするとこんな感じ。
クラッチレバーを引くと図の青い部分が押し上げられて皿ばねをたわませてプレートから浮かせます(クラッチが切れます)。その時皿ばねのたわみ量は増え、一方で荷重は軽くなるからレバーを引き込むほどに操作力は少なく済むってわけ。
この特性こそが「クラッチプレートが摩耗するほど重くなる」というDSクラッチの謎を解く答えです。
クラッチプレートは摩耗すると削れて薄くなりますよね。そうすると皿ばねの初期のたわみが小さくなって荷重が大きくなるんですよ。つまりこういうこと。
クラッチプレートが摩耗して薄くなると皿ばねの初期のたわみが小さくなる。そーすることでプレートを押し付ける荷重が大きくなり、クラッチレバーを引くためにはより大きな力が必要になるってわけ。皿ばねの特性さえ分かってしまえば簡単な理由でしたね。
ちなみにKTM系エンデューロレーサーには皿バネの初期たわみ量を調整する為のプレートが付いています。たわみ量を3段階で調整することでプレートにかける荷重を簡単に調整できちゃう。サンドとかマディとか大きな負荷がかかる場所を走るからクラッチを滑らせないようにしたい、というときは初期のたわみ量を小さくしてやるという具合に調整するそうです。自分はクラッチが軽いに越したことは無いので最も軽い設定にしてますけどね。
DSクラッチって面白い。
重さに悩んでいる方は早めの交換をお勧めします。
という感じ。