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KTM系エンデューロレーサー どれを買えばいい?

こんにちは。

 

FE450の稼働時間が300hを超えました。

走行距離は1.3万キロくらい。エンジンは一度も開けてません。

相変わらずレーサーの耐久テストをやってるゆるはすです。

 

さて、KTMエンデューロレーサーについて。あれってラインナップが山ほどありますよね。だから「結局どれ買えばいいん?」と迷ってる人もいるんじゃないでしょうか。

 

※こんな人に向けた記事です

・トレールからのステップアップでレーサーを買ってみたい

KTMエンデューロレーサーでどれがいいのか迷っている

 

はじめに

2023 Husqvarna Enduro Range

そうそう。KTM系(KTM、Husqvarna、GASGAS)のエンデューロレーサーってすごい沢山ランナップがあるんですよ。基本的に車体は共通でエンジン形式が違ったり排気量が違ったりで差別化されていて、2ストは150、250、300の3つ。4ストは250、350、450、501と4つも選択肢がある。(SIX DAYSなどの上位モデルは省く)

 

で、それらをトレールからのステップアップ先として選択肢に入れる人もいて、どれを買えばいいのか分からない!なんてこともあると思うんです。今回はそんな人の車両選びの参考になればいいなと、今までKTMエンデューロレーサーを所有・試乗してきた所感をぼちぼち綴っていきます。ただしこれを書いている自分はあくまで素人ですので、全てを真に受けないように注意ですよ。

 

評価項目はこんな感じ。それぞれの使い方への適性を5段階評価してみます。

普段使い  :通勤や近場の散歩など短距離走
ツーリング :舗装路を利用するツーリングなど長距離走
ハード系  :CGC等のハードエンデューロ走行
クロカン系 :クロスカントリーレース等ハイスピード走行(その辺の林道も含む)

 

2ストローク

まずは2ストロークエンジンのモデル。

2stマシンで公道を走りたい!という人はKTM系のエンデューロレーサー一択と言っていいです。KTM系の2stエンデューロレーサーは共通してTPI(トランスファーポートインジェクション)を採用しているので燃料供給がキャブではなくFiであるという特徴がありまして、そのおかげで2stオイルが分離給油、燃費が良い、ナンバーが取得できる等々のメリットがあります。

 

また2stは全体的にードエンデューロへの適性が高いので、そういうレースに出たいという人にも勧められますね。極端に走行が困難な状況になればなるほど4stモデルより有利になります。ハードエンデューロ系レースの優勝車両を調べてみてください。2stしかいませんよ。

 

2st150㏄

150 exc
総評:何を犠牲にしてでもとにかく軽さを!という玄人向け最軽量マシン。
普段使い  :★★☆☆☆
ツーリング :★☆☆☆☆
ハード系  :★★★★★
クロカン系 :★★☆☆☆

該当車両:150EXC、TE150

 

KTMエンデューロレーサーの中で最小最軽量のクラス。

「何はともあれ軽さだ!」「軽さが唯一絶対の正義だ!」という人の為にあるような車両です。

 

2st250㏄よりも更に7㎏くらい軽いという、とにかく軽さが強みであるクラスです。その軽さ故に押し引きが必要になるようなシチュエーションでは体力をあまり使わずに済みます。本当に越えるのが難しい場所は無理やり引き上げて難所を越えちゃったりして。ハード初心者にいいかもしれない。

 

エンジン出力的には排気量から2st125をちょっとトルク太くした感じかな?とイメージしてしまいますが、実際に乗ってみるとどちらかと言えば2st250に近い印象を受けます。全体的にパワーを小さくした代わりにゴソっと車重を落とした2st250という感じ。多過ぎず少な過ぎないトルクが下から出るので扱いやすい。

 

一方でビンビン回すハイスピード系の走り方は苦手です。扱いやすさに振った分、ピックアップはかなりもっさりしています。クロカン系のレース(JNCCとか)はきついんじゃないでしょうか。JNCC出たことないけど。

 

またパワーの無さから公道走行も不向き。ツーリング用途に使いたいという人は悪いことは言わないので選択肢から外した方がいいです。これを買ったらハードをやるしかありません。

 

2st250cc

EC 250
総評:目立ちたがり屋ならこれ。公道も走れるアタック系ツーリング最強マシン。
普段使い  :★★★☆☆
ツーリング :★★★☆☆
ハード系  :★★★★★
クロカン系 :★★★☆☆

該当車両:250EXC、TE250、EC250

 

公道でとにかくイキりたい!脳汁垂れ流しながら街中をかっ飛ばしたい!ゆくゆくはCGCとかクロスミッションとかに出たい!そういう人にイチオシなのがこのクラスです。

 

低回転から分厚いトルクが発生するので余裕を持って走ることが出来る上、TPIの特性から燃費も良いためツーリングに使用することができてしまいます。公道走行への適性においては2st150ccよりもあらゆる面で優れています。それに何より2stなので、イキり散らすには最適ですよ。適当に近場を散歩するだけでも脳汁ドバドバ出ます。

 

そしてひとたびコースに持ち込めば「何故ハードエンデューロのレースでKTMグループが勝ち続けているか」をすぐ理解できるはずです。それくらい圧倒的にハードエンデューロに対する適性が高いので、将来的にハードエンデューロ用途で使いたい、ということが分かっている人はこれを選ぶといいと思います。

 

ただ悪いところも無くは無く、4stより全体的に癖が強いです。

4stほど素直な出力特性ではないし、普段使いやツーリング用途への適性も劣るし、耐久性についても悪くは無いですが2stレーサーの中では良いという程度。長く乗るにはあまり向いてないんじゃないかなと思ってしまいます。オイルポンプとか定期的に替えた方がいいパーツもあるしね。

 

使い勝手よりも「走る」ことを優先する方向けの嗜好品という面が強いです。

 

2st300cc

TE 300
総評:ハードエンデューロ最終兵器。Let’s go CGC!
普段使い  :☆☆☆☆☆(ナンバー取得不可)
ツーリング :☆☆☆☆☆(ナンバー取得不可)
ハード系  :★★★★★★
クロカン系 :★★★☆☆

該当車両:300EXC、TE300、EC300

 

ハードエンデューロに魂を売る覚悟ができてる人はこれを買うべき。

そんな人宛にわざわざこの記事で書くことは無い。今すぐ買ってきなさい。

 

 

4ストローク

続いては4ストロークエンジンのモデル。

どの排気量でも共通して言えるのは汎用性がとにかく高いってとこでしょうか。普段使いでもOK、ツーリングにも使える、オフロード性能もトップクラス。総合力で言えば2stモデルを上回ると思います。

 

またエンジンが扱いやすくトラクション性能もいいので、特にハイスピード系のオフロード走行性能は2stモデルに勝ります。ハードエンデューロ用途では2stモデルに後れを取りますが、フラット林道とかでは置き去りにできるのでは?

 

4st250cc

EC250F
総評:ビギナーに強く勧めたい。トレールに近い感覚で乗れるベスト・フレンドリーマシン。
普段使い  :★★★★★
ツーリング :★★★★☆
ハード系  :★★★★☆
クロカン系 :★★★★☆

該当車両:250EXC-F、FE250、EC250F

 

「トレールからのステップアップ先として最も適したモデルは?」

KTM系の4st250ccモデル(即答)」

 

今KLX250とかWR250Rとかに乗っていて、ちょっと満足できなくなってきたからトレールと同じ感覚で使えるレーサーが欲しい!そんな人はこのクラスが最適でしょう。普段WR250Rに乗っている人間に「トレールの完全な上位互換」と言わしめるほどの扱いやすさがあります。

 

実際に私もFE250(2015)に乗っていてその扱いやすさを気に入ってたんですが、現行のモデルはもっとすごいですよ。めっちゃ軽い。扱いやすい。回すと楽しい。振動は皆無(これ重要)。車検ないし維持も楽。欠点らしい欠点が見当たらないです。快適性に関してはトレールより劣りますが。

 

マジで最高。もしかしてこれが正解なのか?

 

しかし、長く乗ってると「パワーの無さ」が気になる人が出てくるでしょうね。もちろんトレールと比べると滅茶苦茶パワフル(35馬力以上40馬力未満というところ)なんですが、他のレーサーと比べちゃうと…。扱いやすさに振ってる分ピークパワーは無いんですよね。同じく4st250㏄のYZ250FXなんかと比べても全然違います。

 

だから長距離を走るツーリングにはあんまり向かないかな?

2stよりも確実に快適ではあるんですけどね。

 

4st350cc

FE 350
総評:パワー&ライトウェイトのベストバランス。回して楽しいハイスピードマシン。
普段使い  :★★★★☆
ツーリング :★★★★☆
ハード系  :★★★★☆
クロカン系 :★★★★★

該当車両:350EXC-F、FE350、EC350F

 

世界的に「最もバランスが優れている」と言われるクラスです。

自分もそう思います。でも日本では車検制度に合っていないので"通"な人、"理解"ってる人しか選択肢に入れてくれない可哀そうなクラスでもあります。

 

乗り味は4st250ccを全域でトルクフルにしたようなフィーリングで、どの回転数からでも安定して鋭い加速ができます。バ・バ・バと極低回転で無理やりアクセル開けるような走り方も許容し、かつ4st250ccと同じくDOHCのエンジンなので高回転も得意。想像していたより更に2, 3000rpm上までカーンと回り、その領域になると450クラスとバトルできるくらいパワーが出ます。マジで乗ってて楽しい。

 

重さがほぼ変わらないのに別物のようにパワーがあるので、競技における戦闘力でいえば確実に4st250ccよりも上です。というかKTM系の4stモデルの中で一番レーシー。スロットル開けたときのピックアップの良さも相まって細かい操作は4st450ccよりも手強いのではと感じるほど。ハイスピード系のレースに興味があるならこれが良いと思いますよ。そういうレース出たことないけど。

 

ちなみに公道で使うとなると4st250㏄よりもトルクフルなので、ツーリングでも4st350ccの方が向いています。高速道路にも乗るような用途で使うなら絶対こっちが良いです。

 

ただ、4st250㏄では気にならなかった振動が4st350ccになると一回り強くなります。そこが結構気になります。加えてナンバーを取るなら車検があるので、一概に4st250㏄の上位互換、ってわけにはいかないです。通な人、競技で勝ちたい!という人向けですね。

 

4st500cc

500 exc-f
総評:細けえことはいいんだよ!パワーで全てを解決するビッグオフローダー。
普段使い  :★★★★☆
ツーリング :★★★★★
ハード系  :★★★★☆
クロカン系 :★★★★☆

該当車両:500EXC-F、FE501

※450は2023年時点で国内販売無しなので省略します

 

力 is POWER。

無敵のパワーを誇る大排気量(正確には510cc)のエンデューロレーサーです。

 

350は450に匹敵するパワー!と言われてますが、実際に全開加速してみるとわりと勝負にならないくらい全域で450の方が力強く、500になると450よりも更にパワーが上がるというダントツっぷり。数字を出すと500EXC-Fは65馬力前後らしいですよ。ヒャ~

 

ただしピーキーというわけではなく、クランクマスをモリモリにしエンジン回転数の上昇スピードを抑えることで扱いやすさも確保していて、かなり安定志向な性格をしてます。乗った感触は4st350㏄までは剣だとすると4st450㏄以上は斧、という感じ。分かりにくいかな。

 

特大のパワーと扱いやすさを両立しているため、どんな用途で使ってもハイレベルな走りができます。ただ車重的にもエンジンのフィーリング的にも重さがあるのでそれなりに上手く操ってやる必要はありますが。

 

一番合った使い方は長距離を走った先の林道に行くようなかっ飛ばしツーリングです。KTMエンデューロレーサーの中で最も長距離・長時間の走行に向いています。北海道ツーリングとかに行きたいんだよね~みたいなラリー的な用途で使うならこれを選ぶといいでしょうね。

 

欠点は振動です。KTM系のエンデューロレーサーの中でダントツで振動が強いです。慣れたら気にならなくなりますが、初めて乗る人はビビっちゃうと思います。あと値段が高すぎるとか車検どうすんねんとか。購入するにはかなりの気合いが必要になりますが、それに応えてくれる性能があることは保証します。

 

結論:イチバン"間違いない"のは4st250㏄

将来的に何やりたいかは決めてないけどトレールからより高性能なレーサーにステップアップしてみたい。そんな人に私が最も強く勧めたいのは、4st250㏄のモデルです。

 

元愛車のFE250

一番の理由はストレスを感じることが無いということですね。

他のモデルは何かしらの強みがある一方で何処かしらに弱みを抱えていて(走行性能なり維持なり)、そこが嫌になって乗る頻度が落ちるかもしれない。でもこいつは欠点が無いのでどんな用途で使っても嫌になることがほぼありません。ストレスフリーっていうのは本当に大事。

 

なので迷ったらまず4st250㏄を買う。

そしていろんなことにチャレンジしてみましょう。林道ツーリングに出かけたり、クロスカントリー系レースに出たり、ハードエンデューロに挑戦してみたり。

 

そうしてるうちに「自分が何をしたいか」「何に力を入れたいか」が見えてくるはずです。その時改めてラインナップを眺めて、よりその分野に強みを持つレーサーに乗り換えればいいんです。ハードが好きなら2stのモデルに。クロカン系のハイスピードレースが好きなら350に。ツーリングに力を入れたいなら500に。みたいにね。

 

きっと気に入る車両はありますよ。

今すぐ最寄りのディーラーに行って契約しましょう。

 

そんな感じ。