こんにちは。
ゆるはすです。
今年の6月にFE250に加えてTE250iを増車しました。
この2台は同じエンデューロレーサーというジャンルのバイクですが、実は性格がかなり異なります。乗り比べると違いを感じられてとても面白いですよ。
とゆーわけでTEの分もインプレを書いてみようかと思います。
TE250i買ってみようかな!FE250とどっちが良いんだろう…という迷える子羊になっている方は是非参考にしてみてください。
はじめに
FE250のインプレでも書きましたが、まず書き手について紹介します。
プロと素人とでは言葉の重みが変わると思いますし。
私は自分をオフロード中級者だと思ってます。
言うほど上手くなく言うほど下手でもなく。人気ハードエンデューロレースの「CGC」で言えばさわやかクラス中堅レベルというところです。
それでいてかつ、私は「さわやか林道ライダー」を自称しています。
自走で河川敷や未舗装路をタララ~っと走って、景色の良い場所でバイクを止めて、ガスコンロ出してコーヒー飲んだり肉焼いたりするのに生きる喜びを感じます。コースを走るのは月に1、2回といったところ。ハードエンデューロライダーじゃないよ!(重要)
TEは基本的にコース走行をメインに使用していますが、たまにナンバーを付けて散歩に使っていたりします。林道ツーリングにも行ったりしています。
そんな私がTE250iに乗ってみてどうだったか。
嘘偽りなく正直に書いていこうと思います。
ちなみに比較対象となる車両はFE250をメインに他エンデューロレーサーになります。
トレールはあんまり含まれてないです。
車両スペック
私のTE250iは2018年式です。
ご存知の通り同年式のKTM 250exc tpiとエンジン・シャーシの大部分が共通しているものの、リアサスがリンク式だったりサブフレームに特殊な素材を使っていたりと細かい差別化が図られています。でも正直なところ「白いKTMなんだな」くらいの認識でいいかもしれません。上手い人に言わせれば大きな違いがあるのでしょうが、私は分かんないです!(アホ)
FE250のインプレ記事でも言及していますが
EXCは「公道走行を視野に入れたエンデューロレーサー」に位置付けられています。なんで公道もかっていうと、海外でのエンデューロレースは公道がコースに含まれることが珍しくないから。公道を走る前提で作られているので、それに合わせて耐久性を重視されていたりナンバーが付けられたりするってわけです。
ということで、EXCと同じジャンルのバイクであるTEも「公道走行を視野に入れたエンデューロレーサー」という認識でOKでしょう。2stでかつナンバーも取れちゃうレーサーは国内メーカーには存在しないのでとても貴重な存在なわけです。海外メーカーの中にはBetaやシェルコなど2stでナンバーが取れるレーサーを作ってるところはいくつかありますが、それでもKTMとハスクの人気はダントツではないでしょうか。あとGASGASも。
そんなTE250iにも兄貴分がいまして、それが排気量を拡大したTE300iというモデル。というかTE300iの排気量を縮小したのがTE250iで、あくまでメインは300の方のようです。乗ってみると分かりますが、低回転のトルクの厚みが全然違うので「公道は走らないよ~」という人ならTE300iの方がおすすめです。この辺はFE250とFE350の関係に近いですね。
エンジン
そんなTE250i最大の特徴がこのエンジンではないでしょうか。
2ストローク単気筒 TPI(Transport Injection)エンジン。
世にも珍しい燃料供給がインジェクション式の2stエンジンなのです。エンジン各部に取り付けられたセンサーからデータを収集し、常に最適な量のガソリンを掃気ポートへ噴射します。
メリットとしては燃費向上やキャブ調整が不要であることなど。
ちなみに同年式のモトクロスモデルはキャブレター式らしいです。
もちろん2stオイルは分離給油。ステムのすぐそこにあるキャップからオイルを入れてあげれば、あとは勝手にオイルポンプでエンジン内へ給油されていきます。混合比はエンジン回転数・スロットル開度により100:1から70:1の間で調整されるとのことで、混合ガスを使用する車両と比べるとかなり薄いらしいです。低回転を多用してもサイレンサーからオイルは垂れず、煤がちょっとつく程度。2st乗りからすると感動モンらしいです。
気になる最高出力はというと公称で47馬力。
後軸の実測値でも約40馬力とかなりのハイパワーです。同じくエンデューロレーサーであるFE250と比較しても相当の違いを感じられます。FEはフル加速でもまだ脳が対処できる余裕を感じられますが、TEは車体の加速にIQが置いて行かれるようなちょっと危険な加速をします。
それでいて近年の外車エンデューロレーサーらしくアクセル開け始めのパワー感が柔らかく、雑なアクセルワークでもスムーズにパワーを引き出してくれます。加えて低回転のトルクは十分すぎるくらいある。低回転を多用する所謂「デロデロした走り」が非常に得意なエンジンだと思います。自分もコース走行時はほとんどの場面でデロデロしか使っていませんね。
回転数を上げていくとちょっとしたトルクの谷があり、そこを超えると一気にパワーが噴き出します。所謂パワーバンドっていうやつですね。結構はっきりと低回転と高回転の出力特性が変わるので回してちょ~楽しいんですが、慣れるまではちょっと扱いづらいかも。オフやってるとこれが結構気になったりするんです、急にパワー出てきてグリップ失っちゃったりして。
しかしTE300iになると上の図の通り低回転から高回転の繋がりがスムーズになってこの扱いづらさが無いらしいのです。うーん、見事な台形パワーだ。気になる方はTE300iを選ぶと幸せになれるかもですね。
低回転をメインに使えることに加えてインジェクション、転倒してもガソリンが漏れないということも合わさり、燃費性能はかなり優秀。CGC出走直前にガソリン補充を忘れたことに気が付き、ガソリンが半分以下しか入ってない!という状況でもガス欠せず最後まで走れちゃったときは感動しました。多分YZだと死んでる。
シャーシ
メインフレームはクロモリ鋼。
サブフレームは炭素繊維を含む複合素材です。
車重は半乾燥(燃料を含まず)で105.2kg。
燃料満タンで114kg。
FEの記事でも言及しましたが、ハスクのレーサーはサブフレームが特徴的ですよね。18年式のハスクは炭素繊維を含む複合素材でアルミと比べてもかなり高い剛性を持つとか。それをハスク側もアピールしたいのか「Composite subframe」と誇らしげなステッカーがサブフレームに貼られています。ちなみに乗っていて乗り味の違いは特に感じないです。(アホ)
ところがどっこいそこが落とし穴。ハスクはサブフレームが破損しやすいレーサーの筆頭として悪名高いです。ステアを超える時、ヒルを登り切った時などのタイミングで捲れてしまうといとも容易くサブフレームがポッキリしてしまうとか。それでいて割れる箇所によっては即走行不能にまでなるらしいので、お尻の下に爆弾を抱えていると言っていいでしょう。多分硬すぎて衝撃が逃げずに割れちゃうんでしょうね。
ただ、割れやすいのは20年式以降で自分の18年式はそこまで割れやすいということはないとか。自分も何度かTEをぶん投げてお尻から着地させたことがありますが割れたことはありません。
そしてフロントサスペンションはそれ以前のモデルで採用されていた4CSサスペンションからXplorサスペンションへ進化を遂げています。4CSで気になっていた初期の入りが悪く突っ張るような動きをするためギャップを拾いやすいという問題が無く、荒れた路面でも衝撃を吸収してスルスルと走ってくれます。ほんと、Xplorの良さを体感してから4CSが付いているFEでエンデューロする気が失せてしまうほど良いサスペンションです。
あと言及するとしたら車格です。
この年式のハスクのレーサーはそこそこ車格が大きく、エンデューロレーサーの中でも足つきがかなり悪い印象があります。モデルチェンジした後の20年式以降はそこが改善されちょっぴり車格が抑えめになっているとのことなので心配な方はそちらの方が良いかも。もちろんローダウンできるのでそこまで心配する必要はないかもしれませんが。
TE250iの良いところ悪いところ
TE250iのざっくりとしたスペック紹介は以上とさせていただいて、ここからは半年間TEに乗った自分が感じた「TE250iの良いところ/悪いところ」を簡単に紹介させていただきます。
TE250iって間違いなく「良いマシン」なんですけど、その良い部分を享受するために飲み込まなきゃいけない要素っていうのがそこそこあるんですよね。なので良い部分と悪い部分を分けて書いていきます。
しかしあくまで素人目線のもののため、参考までに。
ここが凄いぜTE250i
で、TE250iの何が良いのかというと、
簡単に言えば「最強の林道ツーリングマシン」だということです。
類稀な走行性能を持ち、インジェクションエンジンで維持管理が楽でかつ燃費性能に優れ、更にナンバーも普通に取得できてしまうし、バランサーが付いているので振動は少なく快適性も良好。オマケに今となっては希少な2stエンジンの車両で所有欲も満たされちゃうっていう。これ完全無欠な無敵車両では!?
トップクラスのハードエンデューロ戦闘力!
これに関しては異論を持つ人はいないと思いますが、
TEは数あるレーサーの中でもHEDにおけるトップレベルの戦闘力を誇ります。
エンデューロをやっている人間なら知らぬ人はいないグラハム・ジャービス選手がTE300iに乗り実績を残している通り、ハスクバーナのレーサーは紛れもないチャンピオンマシンなんです。ハスクで走っている人はそれをネタにされた経験が一度はあるのではないでしょうか?
で、世界的なHEDのレースのリザルトを見れば分かる通りFEよりもTEの方がHED用途に適していると感じます。正直TEでなければ走りたくないなと思ってしまうほどHEDへの適正の面で差があります。FEも相当の性能があるのですが…速度域が低くハードになればなるほどTEが有利になってくるイメージです。平均速度の速いクロカンとかならFEのが強いと思う。
特筆すべきは「デロデロ」と表現される2st特有の分厚い低速トルク。
とにかくその領域が強いです。自分はパワーで速度をつけて登るような長いヒル以外はこのデロデロしか使っていないと言っても過言ではありません。実用的なトルクがあるにもかかわらず鋭くパワーが出ないので地面を掻くことがほとんどなく、路面を常に鷲掴みにするようなグリップを保ったままヌルヌルっと障害物を超えることができます。その際ほとんどクラッチを触らなくて良いくらいの扱いやすさがあるうえ、少しのミスであれば図太いトルクでリカバリーできちゃうのでとにかく楽。そう、楽なんです。
そして回転数を上げていけばパワーバンドの爆発パワーがあるのでパワーと速度が必要なヒルもこなしちゃうという万能さ。うーん、死角なし。4stほどの素直さは無いですが、まあ慣れれば何とかなります。
あと、瞬発力でも4stに勝ると感じます。
具体的に言うと助走距離ほぼゼロのステアでウーポンをしなければいけない状況で、クラッチをパチッと繋げた時の車体がドカっと進む力がFEよりも強い気がします。なんでだろう?エンブレが弱いからクランクの慣性を後輪の駆動に伝えやすいのかな、と思っていますが正確な理由は分かりません。ただ確実なのは、めっちゃ進むってことです。
しかしながら低速トルクのみを比べるとBetaのRR2tやクロストレーナーには一歩劣ります。最強のデロデロマシンが欲しい場合はBetaがおすすめ。ただ高回転の伸びで言えばBetaよりハスクの方がありますね。低回転と高回転のバランスでいうとハスクはYZとBetaの中間くらいのイメージ。
YZと比べると、低速の扱いやすさとセルの有無が大きな違いになります。一言でいえばTEはYZよりも圧倒的に優しいです。初心者でも肩の力を抜いて疲れずに走れるのは絶対にTE。私も自分の技量の低さを車体がかなりカバーしてくれているので助かってます。YZも軽さとか安さとかパーツ供給が良いとか色々選ぶ利点も多いですけどね。
TPIエンジンは維持管理が圧倒的に楽!
TPIエンジンは自分のようなズボラにはぴったりです。
なんせインジェクションであるが故にキャブレターセッティングが不要。それに分離給油だから混合ガスも作らなくていい。混合比も考えなくていい。
走る前の燃料系のセッティング等は考える必要が無く、走ることだけに集中することができるんです。YZ系なんかは走るたびにセッティングの話をしてますから。次のレースは標高が高いコースだからジェットを変える?うーん、キャブ車は大変そうですね^^;
また他の2stレーサーを圧倒する燃費性能もTPIエンジンの長所として挙げられます。
自分はゆるい林道ツーリングに行った際は驚愕の24㎞/Lを記録しました。ギア比をロングにしてやれば30㎞/Lの大台に乗るのも可能でしょうね。それに2stオイルも全然減りません。最後に入れたのいつだっけ、2ヵ月前くらい?減らなさ過ぎて追加するタイミング分かりません。これ逆にデメリットかもしれませんね。(嫌味)
最強のマシンを公道へ持ち込み可!
もちろんTE250iはナンバーを取得可能です。レースで使用しない人にとっては「ナンバーが付くか否か」「林道ツーリングに使用できるのか」という点は非常に大きなポイントだと思います。TE300iだとナンバー取れないから要注意ですよ。
さらにTEのエンジンはバランサーを積んでおり他メーカーの2stレーサーと比較して圧倒的に振動が少なく、走行中の快適性はダントツに良いです。もしかしたらFEと比べても振動は少ないかも。バランサーの有無はツーリングでの快適性に直結するので要確認です。たまにナンバーが付いてるクロストレーナーなんかを見かけたりしますが、あれは振動強すぎて林道までの公道走れたもんじゃないですよ。
これらの理由から、TE250iは林道ツーリングが可能なバイクの中では最強!と言っても過言ではないと思っています。ここまで気軽に公道を走れてかつレースでも戦える2stレーサーはそう無いのではないでしょうか。兄弟車であるKTMのexcやGASGASのecも同じ運用が可能ですが、個人的にちょっとこの2台はカラーが派手すぎて普段使いはちょっときついかな。ハスクはデザインが大人しめだから普段使いしてても違和感はそこまでありません。
ここが駄目だぜTE250i
ここまでTEをべた褒めしてきて完全無欠の車両に感じられるかもしれませんが、もちろんマイナスポイントもあります。
公道適正はFEを遥かに下回る
確かにTEは燃費も良いし振動もないしナンバーも付けられる、一見林道ツーリングには最適な車両であるように思えます。しかし、林道ツーリングをするにあたってTEは最強かもしれませんが最高ではありません。
何が言いたいのかというと、公道走行への適正ではFEに大きく劣るんです。
公道であれば前の車に詰まることで走行速度を自分でコントロールできない場面が想定されるでしょう。そこでTEの弱点である一定速度での巡行性能の低さにぶち当たります。これが致命的。
少し速度を上げようと大きめにアクセルを開けた時は比較的スムーズにエンジンが回ってくれますが、ほんの微開という領域は使い物になりません。エンジンがグズついて綺麗に回ってくれず、プラグが微妙に被ってしまうのか徐々に失速していきます。ではアクセルと閉じたときくらいはエンブレが弱いのでスルーっと走れるかと思いきや、一定間隔で勝手にエンジンに火が入りそのたびにお尻を小突かれるように車体がガクガクします。(これはエンジン保護の為に多めにオイル・ガスを噴いていることによるのものらしいです)
つまり前の車両にペースを合わせるにはアクセルワイドオープンによる加速とクラッチを切っての減速を繰り返すことを強要されるんです。バイパスなどでこの状況に陥った時のストレスの溜まりようといったら言葉にできません。ノロノロ走るトラックの後ろになったときなんか地獄ですよ。前の車がいなかったりストップ&ゴーを繰り返すような走り方だったりしたらあんまり気にならないんですけどね…。2019年以降のモデルは改善されてるのかなあ?
※追記:2020年以降はアクセル閉じたときの火が入る頻度が抑えられていて快適性がかなり改善されています。公道で走るなら2020以降がおすすめ。
一方でFEは(TEと比べれば)どの速度でもアクセル操作のみで巡行することができるし、エンジン音も静かです。TEからFEに乗り換えると快適すぎて感動しちゃいますよ。そんなこんなが積み重なり今となっては公道を含む林道ツーリングで乗るのはFEばかり。TEは…たまにだったらいいかもしれないですね。
くどいようですが、本当にTEは普段使いには向きません。
何も経験のないツーリングライダーが乗ったら泡吹いて倒れるかもしれないってくらいです。「TEは快適!公道で楽しい!」という記事やインプレをよく見ますが、本気で言ってんのこの人?と思ってしまいます。FEかTEかで迷っていてツーリングをメインに使いたいなら、悪いことは言わないのでFEを買うことをおすすめします。
ただ、TEでツーリングは絶対無理!ということはありませんよ。噂ではリクルスとの相性が良くてそれを入れるとツーリングの快適性・実用性が上がるとかナントカ。「俺は何が何でもTEでツーリングしたいんだよ!!」という人はリクルスの導入を検討するといいかもしれませんね。加えてパワーバンドに到達するまでの低回転は比較的扱いやすいので、その領域のみで走れるよう思い切ったハイギアード化をするとか、対策は無くはないです。少なくともノーマルの状態だとかなり厳しいです。
それに単純な巡行をするだけでも細かい操作が必要になるということは、言い換えればより車両を操る楽しさがあるということ。ちょっと近所のコンビニへ~といったごく短い走行だけでもかなり「濃い」走行体験ができます。同じ距離をFEとTEで走った場合、TEの方が「バイクに乗ってる感」があり満足度は高いかもしれません。その分疲労感も高いですけどね。
TE250iは重い!?
そうなんです。
TE250iは軽くありません。
キャ、言っちゃった///
これ言っちゃうと2stは良いぞおじさんからブーイングを食らいそうな気がしますが、これは事実です。じゃあ重いのかと言われるとそれもちょっと違います。正確に言うと、TE250iは軽さを武器とするレーサーではないと自分は思っています。何はともあれ他の2st250㏄のライバル達と比べてみましょう。
Husqvarna TE250i※… 106.2kg(半乾燥)
GASGAS EC250… 105.8kg(半乾燥)
KTM 250exc TPI … 103.9kg(半乾燥)
Beta RR2T 250 … 104kg(半乾燥?)
Beta X-trainer … 104kg(半乾燥?)
Yamaha YZ250X … 104㎏(装備)
※2022年モデル
半乾燥=燃料を除く車両重量
装備=燃料を含む車両重量
ライバルたちに比べ車重でハスクバーナが劣っているということが分かるかと思います。ちなみに同じくハスクバーナのFE250 2022年モデルは半乾燥で106㎏。実は4stモデルの方が軽いっていう。(重心の違いもあるので体感できる重さはまた変わってきます)
原因はいくつかあるでしょうが、言うのであればTPIエンジンでしょう。多数のセンサー類を搭載しなければいけない2stインジェクションエンジンは重量増を避けられません。事実として、TEは2017年のキャブ式から2018年のインジェクション式になるにあたって3㎏の重量増となっています。あと重量増の要因となっているのはリアサスのリンク化、サブフレームあたりかと。
実際に乗っていて、流石にトレールなんかと比べると圧倒的に軽いんですが他の2stレーサーと比べると重さはあります。特にyz125xを試乗した後にTEに戻ると鉛でも積んでんのか!?ってくらいもっさりとした車重を感じます。引き起こしの際なんてなんでこんな重いねん!!って叫んじゃいます。
「2stだから超軽いっしょ!」
と思っているとちょっと痛い目を見るかもしれません。もし軽さを武器としたレーサーが欲しいのであれば…125㏄、150㏄クラスが良いかと思います。TE150iもありますし。そこまで行くと車重が100㎏を切ってくるので軽すぎて乗ってて笑いが止まりませんよ。
ただ、ツーリング目的で使用するのであれば重さは全く気になりません。むしろ軽すぎて乗ってて恐怖を感じるくらいに軽いです。トレールからTEに乗り換えるんだよね…という人はぶったまげると思います。要するに用途によって感じ方は変わるってことです。
オイルポンプという爆弾
TEはインジェクション化することで数々のメリットを享受していますが、それと引き換えに他の車両にはない特大の爆弾を抱えてしまっています。それを代表するものが、オイルポンプです。
オイルポンプはその名の通り2stオイルをエンジン内に供給するポンプで、その動作はコンピュータで制御されています。制御された最適な量のオイルがエンジンに供給されることでエンジンが保護されているわけですが、ここが故障してしまったらどうなるでしょうか。オイルポンプが故障したら一発でエンジンが逝きます。
YZなんかの混合仕様の車両は自分がガソリンにオイルを混ぜることを忘れなければ問題ありません。しかしTPIエンジンはオイルポンプに頼るしかありません。そしてオイルポンプは稼働時間で劣化してオイル吐出量が微妙に変わっていってしまうらしく、80hで交換が推奨されています。
もちろんポンプへの通電が止まればセンサーがそれを拾って警告してくれますが、通電してはいるけどオイル供給が止まってしまうようなことがあればそのままエンジンは終了。シリンダーとピストン交換、下手すればクランクも…。
更に付け加えると、TPIエンジンは燃調をコントロールする為に多数のセンサー類が取り付けられているんですが、それがトラブルの元のなることがマチマチあるらしいです。汚れたり故障したりするとエンジンがかからなくなったりかかってもすぐプラグが被ってしまったり、様々な不調をきたすとか。センサー類のトラブルなんてパッと見ただけじゃわかりませんよ…。
さあ、あなたはこの車両でツーリングに行けますか?
とはいうものの、快調のまま3万キロ以上乗り回している人だっています。知り合いの知り合いくらいまで探すとオイルポンプ要因でエンジンが死んだという人もいますが、実際そこまでオイルポンプの信頼性は低くなく頻繁に故障するようなパーツではないみたいです。
センサー類は使い方によっては発生頻度が高くなるとかナントカ聞きますが、今のところ自分のTEは快調。うーん、ここは分からないですね。こういうところが嫌でTPIエンジンの車両を選ばないという人もいるみたいです。
と、ここまでTEのデメリットを複数挙げましたが、これらはほぼTPIエンジンのデメリットなんですよね。車重の増加、故障イコール死の爆弾を抱えるということはわりと致命的な気がするんですが、その犠牲を払ってでもインジェクション化によるメリットをKTMは優先したんですね。TPIエンジンを積む車両というのはそういうものだという理解が必要なのかもしれません。
まとめ
総評:
『公道もまあ走れる、最強のHEDマシン』
良いところ
・HED最強クラスの走行性能
・維持管理が楽でセッティング不要なエンジン
・ガソリンとオイルの燃費性能◎
・2stレーサーでナンバーが取れる
悪いところ
・ライバルと比較してちょっぴり重い
・公道での実用性はFEよりも更に劣る
・ライバルにはない爆弾を抱えている(サブフレーム、オイルポンプ)
・値段の高さ
こんな人はTEを買え!
・レース使用をメインに公道も走りたい方
・HEDに力を入れたい方
・2stエンジンンに惚れちゃった方
・"覚悟"をお持ちの方
こんな人はFEを買え!
・公道使用をメインにレースも出たい方
・クロカンに力を入れたい方
・普段使い、ツーリング、レースなどオールラウンドな運用をしたい方
2stインジェクションはいいぞ!!
いろいろ言ってきましたが、TE250iはFE250と同じくかなり広い用途に使える車両だと思います。ただ、FE以上に乗るのに覚悟が必要な車両であることは間違いありません。
さあ、あなたも勇気を出して一歩を踏み出しましょう。
覚悟を持った人に対し、TE250iは無限の可能性を与えてくれますよ。
以上、インプレでした。