ゆるりとはすくばーな

バイク中心 ゆるふわ生活

FE450 バルブクリアランス調整

こんにちは。

 

この前パックラフトを買いました。

夏は川遊びしかしたくないゆるはすです。

 

さて、バイク整備せず乗り潰すクンこと私ですが、今回FE450のメンテナンスをしてあげようと重い腰を上げました。その第一弾として、バルブクリアランスの調整をしましたよ。

 

 

前日談

まず自分のFE450は、はっきり言ってレーサーとしては過走行な車両です。

稼働時間360h 走行距離16000km

メンテサイクルが短く設定されているレーサーをここまでエンジンを開けずに走らせている人は中々いないです(まあ、探せば結構たくさん出てくるけど)。乗っててそんなに不満は感じないものの、自分のバイクは新車と比べていったいどれくらい「ヤレ」てるのかが結構気になってました。

 

そんなとき知り合いのバイク屋が自分と同じ年式のFE450を仕入れたことを知り、なんと見てみれば走行距離が5000km程度だというじゃありませんか。これは試乗して自分の車両と比較してみない手はないと、無理を言って試乗させてもらったんです。

 

その結果分かったことの一つが、

「おれのFE450のエンジン音はうるさい」

ということ。

 

FE450って結構カチカチうるさいエンジンなんですけど、そのカチカチ音が自分のより明らかに小さかった。それでこれはエンジン見なきゃな~と思っちゃったわけです。

 

バルブクリアランス調整作業

で、「エンジンのカチカチ音の原因は?」という問いに対する回答は一概には言えませんが、今回はバルブクリアランスが大きくなっていることにアタリを付けて整備しました。(細かい話は省略します)

 

では早速作業していきましょう。

 

ヘッドカバーを開ける

まずはエンジンにアクセスするために外装を剥がしていきます。

シート外して、ラジエーターとシュラウドを止めてるボルト外して、タンクのコードとホースとボルト外して…ハイ終わり。

5分でこの状態

数えてみたらボルト7本抜いただけでした。やっぱこういう時レーサーは楽だなあ。そんでヘッドカバーを開けてエンジンの中身を御開帳。

 




さ、これがFE450のエンジンのシリンダーヘッドですよ。

SOHCなのでカムシャフトは一本で、吸排気別のロッカーアームを介してバルブを動かしています。カムシャフトに触れる部分はローラーになってるからローラーロッカーアームってやつなのかな。ちなみに2020以降のモデルは吸気側のみローラーが無くなってます、これ豆知識ね。

 

他に特徴と言えばヘッドカバーが斜めに取り付けられているということがあります。こうすることでカバーを外した際に露出する範囲が大きくバルブクリアランスの確認が非常にやりやすいというワケ。こういう細かいところで気が利くのでKTMは好きです。

 

バルブクリアランス測定

ではここから実際にバルブクリアランスを測定します。

前準備としてカムスプロケットにあるポンチが一番上になるようにクランクを回してあげて、あとはシックネスゲージをロッカーアームとシムの間に差し込みギリギリ入らなくなる厚さを見つけていきます。結果は後で分からなくならないようメモしておきましょう。で、測定した結果は下のような感じでした。

 

吸気側(規定値:0.10 ~ 0.15 mm)

 右:0.15 mm

 左:0.20 mm

 

排気側(規定値:0.12 ~ 0.17 mm)

 右:0.19 mm

 左:0.23 mm

 

あ~ん、はいはい…ガバガバですね。

 

4つのうち3つで規定値を上回るという結果に。規定値内に収まってるものも上限いっぱい。そりゃこんなガバガバじゃロッカーアームの打音も大きくなるよなあ。0.20mmのゲージが何の抵抗もなく入った時はちょっと笑っちゃったよ。規定値内だったら調整する必要は無いけど、ここまで外れてたら調整必須です。てなわけでシムを換えてクリアランスを調整するので、そのためにまずロッカーアームを外して現在のシムの厚さを測ります。

 

ロッカーアームの取り外し

シムにアクセスするためにロッカーアームを外します。

普通こういうエンジンはシムを交換する為にカムチェーンを外すっていう作業が発生するので面倒くさいイメージがあるんですが、このエンジンの場合なんと滅茶苦茶簡単です。ロッカーアームシャフトを上から止めているボルトを吸排気各2本ずつ抜いて、シャフトをシリンダーヘッド右側ボタンボルトの箇所から引き抜くだけ。これだけでロッカーアームを外すことが出来ちゃいます。

 


びっくりでしょ。これでもうロッカーアームがフリーになります。この構造思いついた人マジで天才だと思う。

 

この時外したパーツは分かりやすいように並べて置いといて、変な摩耗が無いか確認しておきましょう。シャフトに変な段差がないかとか、ロッカーアームのローラーにガタが無いかとか。ここに問題があると最悪エンジンが壊れるので要注意。幸い全てのパーツに気になるような摩耗は無かったので全て再利用することにしました。

 

 

シムの取り外し・測定・交換

ロッカーアームが無くなりシムを触れるようになりましたね。

ということでシムを外します。

 

 

この時のポイントとして、絶対にマグネットのピックアップツールを使ってください。無理してピンセットとかで取ろうとしてポロッとそれをエンジンの中に落としてしまったら目も当てられませんよ。面倒ごとを避けたいならピックアップツールは必須です、というかこれがないと外せないんじゃないかな。

 

外したシムはデジタルノギスを使って厚さを測り、今のバルブクリアランスと比較して規定値内に収まるよう異なる厚さのものを発注します。自分の場合はクリアランスが広がる傾向にあったので規定値の範囲の下限を狙って厚いシムを用意することにしました。パーツはヒラタ自動車さんから購入させていただきました、いつもお世話になってます。

 

hirata-auto.com

 

届いたものを自分のノギスでも厚さを測ってみましたが問題なし。元あったものと交換してあとは戻り作業です。ロッカーアームとシャフトを組み付け、止めるボルトを規定トルクで締め込んでハイ終わり。なんて簡単なんでしょう。

 

ここまで組んで再度クリアランスを測定したところ、全て0.13㎜程度に収まってました。予想値より0.01mmほどの差はあったもののこの程度であれば問題ないですね。カバーを閉じて作業は完了です。

 

追記

組みつける際はロッカーアームのクリアランス調整を忘れずに行いましょう!

yuruhus.hatenablog.com

 

後半へ続く

さて、大幅に規定値から外れていたバルブクリアランスを戻してあげたことでどの程度効果があったか早速試乗して見てみたいところですが、ここからさらにもう一つ作業を実施しました。

 

それが、DDSクラッチダンピングラバー交換です。

KTM系のレーサーはDDS(ダンピング・ダイヤフラム・スプリング)クラッチというものを採用していて、クラッチの内部にゴム製のダンパーが入ってるんです。こいつが劣化すると何やら悪さをするそうで、バルブクリアランス調整ついでに交換しちゃいました。

 

その内容や換えた後の効果については…

長くなったので次の記事で続きます。